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患者様インタビュー

Vol.2患者様インタビュー 第1回(全2回)2021.03

「側弯症」の診断は多くの場合、本人に何の自覚症状もなく、心当たりもないまま下されます。側弯の大きさや進行のスピードには個人差がありますが、進行のスピードが早い場合には、予想よりも早く「手術」という選択肢をとらざるを得ない場合もあります。
脊柱変形を根本的に治すための手術は、その後のリハビリ期間も含め、患者にとっては心身ともに大きな負担にも。しかし、その手術を乗り越えて得られる安心感は大きいこともあります。今回は、中学2年の時に特発性側弯症の手術を受け、術後8年が経過した現在も、何の不安もなく生活を続けている女性(Iさん・仮名 取材当時22歳)のエピソードを紹介します。

全2回でお届けするインタビューの前編では、Iさんが「側弯症」と診断されてから、中学2年の時に手術を受ける決断をし、リハビリに前向きに取り組むまでのことを振り返ってもらいました。「手術」に向き合う、率直な気持ちをお聞きします。

親子で違う診断結果の受け止め方

── 最初に「側弯症」と診断されたのは何歳の時ですか?

Iさん:11歳、小学5年生の時に学校検診で指摘されました。整形外科を受診するようすすめられ、母と一緒に地元の整形外科で診てもらいました。そもそも「側弯症」という病名を聞いたこともなかったので、まるで実感はわいておらず、すぐに治るだろうと簡単に考えていました。そんな私とは反対に、母はとても深刻な顔をしていて。そして撮影したレントゲン写真を見て、私自身も驚きました。ああ、こんなに曲がっているのかと。日常生活で、そんなことを実感する場面は一度もなかったのですが、これは結構大変なことなのかもしれないと、子供心に感じたのを覚えています。

── その後は大学病院に通い、装具療法を開始されたんですよね。装具を装着することへの抵抗感はなかったですか?

Iさん:装具の苦しさには比較的すぐに慣れました。私は少しでも弯曲の角度をおさえたいという一心で、体育の授業や部活動、入浴時以外はいつも着けていました。寝る前には母に装着を手伝ってもらっていましたが、ゆるい締め方では効果が薄れるような気がしてしまって、自分でもう一度締め直したり、神経質なぐらい、前向きに取り組んでいたと思います。ただ、側弯症治療のための装具を着けているということを、一部の仲の良い友達と担任の先生、養護の先生以外には話していなかったこともあって、その友人たちや先生も、はれものに触るようにデリケートに扱う感じでした。今となっては、もっとオープンに説明して「大丈夫だから」と、理解してもらったほうがよかったかなと思います。でも皆さんとてもあたたかく見守ってくださいました。

手術前のレントゲン写真
手術前の
レントゲン写真

── 中学2年の時に手術に踏み切ったとのことですが、その経緯を教えてください。

Iさん:「手術する」という選択は早い段階からありました。でも、私はバレーボール部に入っていて、手術をするとしばらくはスポーツができなくなるとも聞いていたので、大きな大会が終わるまでは手術はしたくない、できれば先のばしにしたいとずっと考えていました。でもある日の診察で、弯曲の角度が65度まで進んでいると言われ、主治医の先生に「手術をしましょう」とすすめられました。先生の「このままでは内臓に負担がかかって、心臓や肺の機能が低下する可能性もある」という言葉に母が顔色を失って、私よりも先に「手術受けます」と即答していたことを覚えています(笑)。私自身は手術に前向きではななかったのですが、角度50度以上が手術に踏み切るひとつの目安だと以前から先生には言われていましたし、信頼している先生が「今」とおっしゃるなら、それに従うべきなのかなと思い決意しました。

── 手術前は、かなりの早さで弯曲の症状が進行していたのですね。

Iさん:装具を使ってなるべく進行のスピードを遅らせるという治療法で、なんとかおさえられればと思っていたのですが、やはり成長期に入ると身長が一気に10㎝ほど伸びたり、角度の進行をおさえることが難しくなってきました。手術を決意する少し前からは、受診のたびに10〜20度くらい進行していくような状態で、さすがに私も心もすさんでいったので、手術をしたらこんな後ろ向きな気持ちから解放されるのかなと、手術に対する希望も持ち始めていました。

── 手術を控えて、当時はどんなことが不安でしたか?

Iさん:手術後半年は激しいスポーツは無理だと聞いていたので、その時点ではもう部活に復帰して大会に出ることもあきらめていましたし、手術そのものについても、私自身は自分でも痛みに強いほうだと自覚していたので、多少の痛みには耐えられるだろうと、それほど心配はしていませんでした。手術の傷あとについても、事前に30㎝くらいはあとが残ると聞いていましたが、それくらいならまあいいか、なんとかなるかと思っていました。本当に根が楽観的なので(笑)。

── とは言え、手術後に全身麻酔から覚めた後は、痛みは相当なものだったのでは?

Iさん:思い返せば確かに痛みは強かったと思うんですが、やはり楽観的な性格が幸いしてか、生きていれば大抵のことはなんとかなると思えるタイプなんですよね。痛いくらいは全然平気だって思えていました。振り返れば、麻薬も打ってもらっていたくらいなので、相当な痛みだったはずなんですが、それよりも背骨が変な感じだなっていう違和感のほうが勝っていましたね。なので全然、耐えられないほどの痛みではなかったです。

手術直後のレントゲン写真
手術直後の
レントゲン写真

── 実際に手術が終わってから、リハビリをしていく中でどんなことを感じていましたか?

Iさん:手術直後は背中に違和感が強くあって、貧血にも悩まされましたが、3〜5日ほどで自力で起き上がれるようになり、歩くこともできるようになりました。ただ、背骨をきれいにまっすぐにしていただいたことによって、2㎝くらい急に身長が伸びたので、それは少し変な感じでしたね。そして2週間ほど経過する頃にはかなり回復し、自分の力だけで歩けるようにもなって、無事に退院することができました。リハビリは少し大変でしたが、歩けるようになると楽しくなってきて、一日中院内をぐるぐる歩き回ったりして、もう大丈夫だと思えるようになりました。そうして手術後の身体にも慣れてくると、またバレーボールもやりたくなるんですよね。これならまた元のように部活ができるかもと、すごく前向きな気持ちになっていきました。

※第1回は終了です。第2回は手術後の経過などについて語って頂きます。

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